【書評】性欲の科学 なぜ男は「素人」に興奮し女は「男同士」に萌えるのか|著者:オギ・オーガス、サイ・ガダム
評価と感想
評価: 3性欲について、これほど考察した本を他に見たことが無い。
様々なデータから、男女の性欲の不思議をヒモ解いている。
性欲についての結論としては、「色々な性癖の人がいるよね」という感じなのだが、
性欲を考察する過程での様々な考え方は、恋愛やナンパ・口説きに使える。
生物学的な視点と、データからの行動学をもとに考察しているため、
信憑性が高く、説得力もあるが、タイトルどおり性欲を紐解く内容となっている。
そのため、女の口説き方や落とし方など、実践方法は書かれていない。
だが、女性を攻略する手がかりは豊富に書かれているので、一読する価値は高い。
この書籍には以下のような事が書いてある。
- 女性の中には「探偵」がいて、その探偵が男性を調査しているためガードが堅い。
- 女性も男性と同じように視覚により、体が性的に興奮するが「探偵」がその刺激をブロックする。
- 女性は、支配的な男性を好む。
- 女性は、自分の性的魅力にも興奮する。
- 女性は、男から性的な視線を浴びたい。
- 女性は複数の要因が集まらないと性欲を解放をしない。
- 女性引きつけるキューは、「経験豊富」「金持ち」「有能」「支配者」
本書では、男性と女性の性欲は、大きく違う事を強調している。
それが、女の中の「探偵」だ。
探偵は、常に男を査定し、周りの女性とも協力して情報収集する性質がある。
男はこの査定を通過しないと、女を欲情させられない。
では、どんな男がその査定に通過しやすいのか?
その答えは「α(アルファー)な男」だ。
αな男とは、いわゆる自信家で能力があるリーダー的な男の事で、
地位や権力、お金があればさらに女を引き付けられる。
つまり、ざっくり要点をまとめると、
自信家で支配的な男性になり、女に価値がある男と思わせる事で、
女の性欲を解放し、モテる事ができるという事だ。
その他にも、インターネットでのエロサーチのランキングや、
ゲイの性的思考などの話しが出てくるが、あまり参考にならない。
とくに「ゲイの話し」が長いので、本書を読むなら読み飛ばしても良いだろう。
そもそも、研究結果を発表するような書籍なので、読んでいても面白みに欠ける。
パラパラと飛ばし読みをしたり、気になる箇所だけ読む事をお勧めする。
4億の検索ワーズ、65万人の検索履歴、数十万の官能小説、数千のロマンス小説、4万のアダルトサイト、500万件のセフレ募集投稿、数千のネット掲示板投稿を、最新のデータマイニングを駆使して分析。
神経科学と性科学の研究成果も加味してまとめた。これは、キンゼイ・レポート以来の「偉業」なのか?男と女とゲイの性的欲望を解明する衝撃の問題作。
著者について
●オーガス,オギ
ボストン大学で計算論的神経科学の博士号を取得。学習、記憶、視覚の数学モデルを設計した。米国土安全保障省の研究員を務め、MIT(マサチューセッツ工科大学)リンカーン研究所では生体防御系を研究。ボストン在住●ガダム,サイ
ボストン大学博士課程で機械学習の生物学モデルを研究。ノイズの多いパラレルな脳情報処理を再現するナノプロセッサを、ヒューレット・パッカードと共同開発。現在はボストンとインド・ハイデラバードを往復しながら、顧客の好みを知りたい企業向けにデータマイニングの専門家として活躍目次
第1章 大まじめにオンラインポルノを研究するー性科学と「セクシュアル・キュー」
第2章 熟女人気と体のパーツの好みに関する考察ー男の「目」を惹きつけるキュー
第3章 お尻や乳房など体ばかりに注目するのはなぜかー男性の性的欲望
第4章 セックスする前に脳が男を品定めするー女性の性的欲望
第5章 強くて支配的な大金持ちとちょいワルが好きー女の「心」を捉えるキューその1 ヒーロー
第6章 自分の性的魅力で男たちを惹きつけたいー女の「心」を捉えるキューその2 ヒロイン
第7章 ストレートの男と違うところは3つだけーゲイの男を惹きつけるキュー
第8章 求む、背が高くてお尻がカッコいい男ー女の「目」を惹きつけるキュー
第9章 浮気妻と素人娘は競争原理と本物志向の表れー男の「心」を捉えるキュー
第10章 「支配」と「服従」あなたはどっちがお好き?-男女両方の「心」を捉えるキュー
第11章 そして欲望はイリュージョンを生み新たな次元へーセクシュアル・キューの創造力
使えるノウハウ
<ポイント>
- 女性は自分の体の魅力にも興奮するので、女の魅力を褒めると良いだろう。
- 女は他の女と情報を交換するため、ターゲットの女だけでなく、他の女からの評判も高めておく必要がある。
- 女の査定をクリアすることが、女の性欲を解放する事になる。
- 女の査定は「複数の基準」をクリアする事で突破できる。とくに支配的な男は突破しやすい。
<注意点>
- この本は恋愛本やナンパ本ではない。性欲というテーマの研究結果が書いてある本なのだ。
そのため、普通に読んでいても面白くはないが、「どうやったら女性の性欲を掻き立てる事ができるのか?」という疑問を常に持って読めば、得られる情報は多い。やたらゲイの話しが多いのと、最後の方に同じような話しが何度も繰り返されるので、ウンザリする部分もあるが、情報収集をする意味では良書だ。